スカイツリーの足元で、住む人がまちの次を考える「押上まちづくり未来カイギ」

東京スカイツリーを擁する押上エリアで、住民や関係者がまちのこれからを話し合う場として「押上まちづくり未来カイギ(未来会議)」が開かれています。主催は、2026年2月に結成された「押上まちづくり協議会」。観光の顔が強いこの一帯で、住む人・働く人の側から小さなプロジェクトを立ち上げていく、という性格が強いようです。

第1回として報じられているのは、2026年5月16日、すみだ共生社会推進センター(墨田区押上2)での開催です。午前は「押上まち歩き」、午後はワークショップという2部構成でした。まち歩きでは3つのコースに分かれ、いつもの通勤・買い物とは違う目線で地域を見返す、という狙いがあったようです。

参加者からは「住宅が多く、まちの個性が見えにくい」「想像以上にホテルが多い」といった声が出た一方で、個性的な店、墨田区唯一のプレイパークとされる「わんぱく天国」(押上1)、映画のロケ地にもなった飛木稲荷神社(押上2)などに魅力を感じた、という感想もあったと報じられています。スカイツリー周辺は来街者向けの開発が進む一方、生活圏としての顔はまだ拾いきれていない——そんな温度差が、この会の出発点になりやすそうです。

午後は「押上をどんなまちにしたいか」「そのために何を始めるか」をテーマに、グループを入れ替えながら議論し、最終的に6件のプロジェクト案が出ました。このうち4件は、新たに開設したLINEオープンチャットを使い、継続して進めることになったとされています。

報じられている企画の一例は次のとおりです。

• 掲示板プロジェクト:QRコード付きポスターを地域に置き、観光客へ情報を届けつつ、回遊の動線も調べる

• スカイツリー探訪映えスポットツアー:周辺のフォトスポットを外国人観光客向けに紹介する

• 押上キーマン探求プロジェクト:商店や活動者など、まちのキーパーソンを発掘・紹介する

• おしきた商店街:押上駅北口周辺の店舗をまとめ、新しい商店街としてつなぐ構想

ホテルの多さが目についたことが、外国人観光客向けの企画につながった、という説明もあります。観光客を「さばく」のではなく、地域側が案内の主導権を持つ、という発想に近いのかもしれません。一方で商店街の減少も課題として挙げられており、北口再開発と生活の場をどう両立させるかは、この先もテーマになりそうです。

協議会の理事長は、地域コミュニティースペース「よりみち自由室」(押上2)を運営する山口亮さんです。山口さんは「墨田区100人カイギ」の発起人でもあり、その後継の「墨田区まち活カイギ」でも地域プロジェクトづくりに関わってきました。ご本人は、手法はまち活カイギに近い部分もあるが、押上というコンセプトがはっきりしている分、より尖った企画が出やすい、と話しているようです。町会からの参加もあり、これまで届きにくかった層にもリーチできた、という実感も伝えられています。

流れをざっと追うと、墨田区では2022年10月から約20カ月「墨田区100人カイギ」が続き、2024年5月に区長が100人目のゲストとなって一旦終了。その後、参加者が主役の「まち活カイギ」へ移り、2026年に入って押上に特化した協議会と未来カイギが立ち上がった、という位置づけになりそうです。100人カイギは同じ地域で再開催できない一方、対象を細かくすれば新たに開ける、というルールがあるため、2026年10月12日からは「押上100人カイギ」も始まる予定です。今後は奇数月に未来会議、偶数月に100人カイギを交互に開く案も出ています。話を聞く場と、企画を動かす場を分けている、と読むこともできそうです。

墨田区公式アカウントでも、スカイツリーを擁する押上のまちづくりイベントとして参加者を呼びかけています。Peatixでは「押上まちづくり未来会議」の回次募集が出ており、「すみだの力応援助成事業」の対象としても紹介されています。会場は共生社会推進センターが使われることが多く、参加のハードルは比較的低めに設定されている印象です。最新の日程や定員は、PeatixやLINEオープンチャット「押上まちづくりネットワーク」、協議会の発信を確認した方がよさそうです。

押上は、タワーと駅とホテルの景色が先に立ちやすいエリアです。その足元で、掲示板のQRやキーマン探し、北口の店のつなぎ方といった小さな実験が始まっている点は、興味深いところかもしれません。大きな再開発計画とは別に、住民側から「次の一歩」を置く場——今のところ、未来カイギはそんな役割を担い始めているようです。

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